臆病なサイモン








* * *








『ひぃぃいいああああああああああああああああああああああああああああああああああッママぁああああああッ!』



―――ついさっき、渾身の「演出」でビビらせた「ホンダ」の悲鳴が、まだ耳に残ってる。


ブラザー、見ててくれた?


ぷぷーっ!

アイツのビビりっぷり。

オレさ、正直、トイレに隠れてる間中、「ホンモノ」出たらどうしようって、奥歯ガチガチ言わせてたんだけどさ。




「…報われたわー」

だってほんと、失(ピー)禁ギリギリまでいったっしょ、アレ。

つか、漏らせば良かったのに。

そんで大恥さらして、もう二度とダンゴに悪態つけなくなれば良かったのに。


なんて。



「まさか一番手がホンダとはね」

俺の布石に、ダンゴのトドメ。

正直、グループん中にホンダが居るって解った瞬間、チョー気合い入れた。

もう、作戦、練って練って練って、こね練りまくり。




「スッキリした」


俺が勝手に燃えてやったってのに、ダンゴはいつもの倍、素直に笑ってくれたりして。


なんか、ちょっと、地味に嬉しいかもしんない。






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