臆病なサイモン








* * *









その日のダンゴは、とてもナチュラルだった。

楽しかったら笑うし、嬉しかったら微笑む、気に入らなかったら不細工な顔をするし、腹を立てると眉をしかめる。


それから、悲しいと、泣いた。




ナチュラル・ザ・ベスト。

怖いもんは恐いパチもんホラー映画に憔悴しながらも、俺はそんなダンゴを観察しながら気を紛らわせる。


世界ダンゴ発見。

顔は小さいけど、笑うとエラが張ってちょっとふっくら見えることとか、人の話を聞く時、片眉を上げるクセがある、とか。



(…うん、)

普段のマジな顔してるダンゴも嫌いじゃないけど、今日のダンゴも嫌いじゃないな。


なんちて。


無意識にニヤニヤしちまうのは、多分、ダンゴが本当にリラックスしてるからだ。

いつもは見慣れないそれらの表情に多少緊張しながら、それでも、俺はなんだか嬉しかった。




(…恐いもんは恐いけど)


スクリーンに写り込む不気味な映像は、俺の心臓をバクバク言わせてばかりだけれど、ダンゴの「傷口」は、それ以上のインパクトだった。


今はもう、握っていた手は離れてしまったけれど。







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