臆病なサイモン








一体なにを話すのかとドキドキしてたら、そんな俺に一言一言言い聞かせるようにダチンコは口を開いた。



「なんかほら、隣のクラスには、メガネかけた三人組がいんじゃん、根暗そうなさー」


―――ギクリ。



(…もしか)




「なんか親が離婚しちゃったらしくて?…親戚のメガネんちに転がり込んだらしいよ」


…なにその微妙なオヒレ。

いや今は、その情報がどこから流れたか――て、確認するまでもないかも。



「なんかメガネが自分で言ってたって」

だからって、言いふらす理由は?

意味もなく、あのホンダが言いふらすだろうか?


「いじめられていた」ダンゴと親戚だってだけで、キレてるようなやつなのに。




(…や、でも、事実よりウワサのが優しいし)


それなら、どうせいつか話題になってたようなことだし、放っておいて問題はないかもしれない。


「段にマジかどうか確かめたいんだけどさー。あいつダチ居ないし…いつもひとりだから逆に聞きづらいよな」


って、ダチは言うけど。





『…また、会いたいな』



俺は、知っているから。






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