リベンジコレクション
こんな女性なら、あつし君もきっと夢中になっただろう。

同じ女性なのに、優しくされると照れてしまって、ちらちらと視線をさまよわせる。

そこで綺麗になった自分の手に気づき、ハッと顔を上げた。

「あのっ、お金! クリーニング代、いくらですか!?」

 ソウはすでに扉に手をかけていて、私とまどかさんのやり取りが終わるのを待っている。

わたわたと財布を取り出した私に、まどかさんは首を傾げた。

「まとめてソウに請求するから大丈夫よ?」

「いや……えっと、払います!」

 私が払うことになっているのだと説明するにも、なんだか上手い言葉が出てこなくて、まどかさんの言葉に首を振る。

「そうね……。じゃあ、今度買い物に付き合ってくれないかしら」

 私の様子に何かを察したのか、まどかさんは首を傾げながらもちらりと笑った。

「シャツは後日持っていくから、その日に付き合って。ね?」

「付き合うって……」

 困惑する私に、まどかさんは大人のわがままを口にする。

相手を納得させるための、小さなわがままだ。

「買い物とかいろいろ。だめ?」

 美人に可愛らしくおねだりされて、断れる人間などいるのだろうか。

もちろん私は即座に頷いた。

「話はまとまった?」

 ソウが扉をゆっくりと開ける。

小さなベルがりんと音を鳴らした。

「それじゃあ、またね」

 まどかさんはカウンターから出てきてソウに代わり扉を支えると、柔らかな笑みで私を見送ってくれた。
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