魑魅魍魎の菊

悪の微笑みは残像を作る




現在、バレーボールの試合が無い利枝と栄子でソフトの応援をしているのだ。



女子は知らないけど、男子は割と全員仲が良いからコンビネーションは抜群だといえよう。

そして…



以前は上から眺めていた植木君のバッティング…。まさかこんなに近くで見られるとは思わなかったよ。


にしても、野球をしている植木君って凄い凛々しい顔をするのね…。




そのお陰か観客数が半端無いのは何故だろうか。





「イケェー植木ー!!そのままかっ飛ばせー!!」

「り、利枝サン…。キャラが違うッスよ…」

「ンな事言ってたら戦場で生き残れないわよ菊花!!」

「何のことよ!!」


ていうか普段冷静な利枝がスポ根に目覚めているよ…。


「いけいけA組!!頑張れ頑張れA組!!!」



なんかまともに応援してる栄子が輝かしく見えるよ…。そして、これぐらいの素直さを玖珂君と萩谷君に植え付けたいよ。


——いや、でも素直すぎる玖珂君とか恐いかもしれない。なんか、あれぐらい捻くれていた方が玖珂君っぽいね。




「常勝、A組!!一発決めてやれ!」


私がそう叫べば、A組のみんなが「オウ!!」と答えてくれたのだ。そして、バッターボックスに立つ植木君が素敵な笑顔を繰り出してくれて、みんなをメロメロにしてくれたよ。


うーん。「格好良い所を見せる」って……言うぐらいだから、ホームランでもかましてくれるのかな…





——みんなのために。



その瞬間だった、またもや胸がざわつくような突風が吹いたのは。


 
< 188 / 401 >

この作品をシェア

pagetop