魑魅魍魎の菊
「ん〜っと、どうしようかな。…玖珂君達見つからないし、」
首を傾げた瞬間、蜥蜴は何かを察知したように菊花の掌から逃げて行ったのだ。
(…いや、旅は道連れ世は情けッスか?)
よし、あのトカゲさんの後に着いて行けばどうにかなるか。
そんなアホみたいなことを考えながら、私は小走りでトカゲさんを追いかけたのだ。
ていうか私も妖術でも何でも使って、さっきのトカゲさんの声を聞けば良かったかな…
だが、明らかに私は危ない人間だと周りの人達に勘違いされるだろう。断じて私は怪しい者ではない、だだのしがない女子高生よ。
(…アレ?もう一つのコートかしら)
辿り着いたのはもう一つのコートだった。どうやらこっちのコートでは一年生の試合が行われているのね。
(……にしても、下品な笑いが聞こえて来る)
菊花は顔を歪めながら宙を見つめれば…加藤が居たのだ!
「ということは…あそこら辺か」
何より…
観客の女の子達が「玖珂く〜ん!萩原く〜ん!」と猫声を出しているのが聞こえたからだ。
オイオイオイ…あんまりモテるのも大変そうね。
そんなことを思いながら、菊花は観客を強行突破しながら、足を踏まれてようやく正影たちの元へ辿り着いた…。