魑魅魍魎の菊



「…お、大槻様っ…」

『——ごめんなさい瑠璃丸。私は貴方のことが今でも忘れないの』







(だから、"一緒"に戦いましょう)


瞳を開いてみれば——




「ぎゃぁああああああ!!離せ、離せ離せぇぇええええ!」

魑魅魍魎の主に覆うように群がるアオスジアゲハと——自分の髪の毛が竹林に巻き付く。


それを利用してなのか、正影達が魑魅魍魎の主の首や体を縛り上げるのだ。蓬莱は神の力を物の怪に流し込んで、徐々に体力を奪わせる。



「反実の世界よ、この物の怪の周りを歪めさせろ!!」

スザクは菊花の周りに結界を張り、時空の歪みを作り——



玖珂の物が一斉に菊花に攻撃を仕向た。以前私の頭上には何故か大槻様が天女のように浮かんで——




(——さあ、悪を滅ぼす礎となろう)

そう呟かれると、私は一気に駆け抜けて懐に入れていた短剣をまた取り出して——



宙高く飛び上がったのだ!そして、蛇の物の怪——いや魑魅魍魎に向かって集中し、意識を高めるのだ。大丈夫だ、私には大槻様が付いているのだ。

これが懺悔とは思わないが、私は桜のようになるのだ——




「『——この大槻の地に佇む蟒蛇よ、退散しろ!!!』」


そして、正影、龍星、穂積は互いに集中し——



「「「消し飛べぇぇえええ!!!」」」



永久に語られるかどうかも解らぬ醜い魑魅魍魎の主「菊花」は禍々しい叫び声を上げ、




——跡形もなくなってしまった。



(——まだ、安心するな——)


 
< 350 / 401 >

この作品をシェア

pagetop