魑魅魍魎の菊

「んだと……このクソ狐っ、」



「美鈴は——神狩りに加担した生き残り。言わば、儂達が滅さなければならない」


全身の血が引いたような気がした。——妖怪の世界の事情なんざ知らねぇ。


「おい玖珂!テメェっ……」

「落ち着け萩原。——取りあえず、美鈴ちゃんをどうするかは"俺"が決める」






「若!!今直ぐ、め、滅して下さい!!!」


その時、鏡子が発狂しそうな声を出しながら美鈴ちゃんに向かって指を指した。


「この蛇の物の怪は我らの敵です!!いくら魑魅魍魎の主が滅されたとはいえ、油断は出来ません!











——あの意地汚い女ならば、消えても尚何か仕掛けてきます!!」


その瞬間、俺は美鈴ちゃんを抱き上げて——千影の上に乗せた。


「わ、若?!」

「——鏡子。おめー出しゃばりすぎだ。"俺"が決めるんだ。口出しをするんじゃえねぇよ」

千影が小声で「良いのか…」と呟くが、俺はその声さえも制した。まずは治療が必要なのだ。


美鈴ちゃんにはその後話を聞いても遅くな——








「な、何?!」


その瞬間。美鈴ちゃんの体が浮き上がり、花火のように弾けてしまった。「ばぁあああん!!!」と大きな音を立て、肉が散らばったような音が響いた。血が顔にかかったのも何故だろうか。


またもや——狂気じみた空間が生まれてしまった。


 
< 352 / 401 >

この作品をシェア

pagetop