魑魅魍魎の菊





部屋の中に加藤を招待し、対峙をした。




「——高村の"計画の一部"だと?」

意味解んねぇ、そう呟きそうになるがあの女だったら何をしでかすかわからない。


「あの縁日の日に俺は上空からずっと菊花ちゃん達の話を聞いていたんだ…。"大槻様"を狙ったのも全て"一興"に過ぎなかったんだ」

「——…じゃあ何か、高村の本当の狙いは"大槻"を滅することじゃなくて…"別"にあったって事か」

「会話を聞いている限りはそう考えるのが妥当だと思う」



この事を玖珂に話したのかと聞くと、加藤は首を横に振る。



「……どうして俺なんだよ。俺は何も出来ネェ」

「そうじゃないんだ…。今あの家はピリピリしているから、この話題はあんまり出したくない。だけど、話さなきゃ絶対に取り返しのつかない事になるって——」



確かに今、玖珂の家では高村を地獄に落とした(?)は良いが——何故大槻を狙った理由までかは解らず、他の魑魅魍魎も消えてしまっているらしくて血眼になって探しているそうだ。


(…確かにこれ以上危険因子を加藤のような幽霊がぶち込んだら大変なことになる)




「……で、美鈴がどうとか言っていたじゃねぇか」

俺は足をまたもや崩して、ミネラルウォーターで口を潤す。急激に喉が乾き、妙な緊張が迸る。


加藤は青い顔をさらに青くして、視線を上げるのだ。



「——前、綾崎さんが蛇の物の怪に襲われた事あったでしょう?」

「あったな。だが、それが…」


そんなことが何に関係するんだ。




「——綾崎さんに扮した"菊花"ちゃんが居た。だけどあれは幻だった——だったら、今回みたいな激しい乱闘であの能力を使わないはずがない、」




「ちょ、ちょっと待ちやがれ!」


龍星はテーブルを「バンッ!!!!」と叩いて、身を乗り出すのだ。
頭がパンクして、混乱している。

 
< 361 / 401 >

この作品をシェア

pagetop