魑魅魍魎の菊






——ガシィンッ——!!!


刀同士が衝突した瞬間に火花が散ったような気がした。どちらも一歩も引かない五分五分の勝負。



「片手だけでよくやるな」

「きっと明日は貧血と筋肉痛だっつうの…!」



正影が刀を勢い良く振り下ろすが、菊花は上手く避けながらバック転をし距離を取る。

そしてすぐに入り身しながら蹴り技を御見舞いする。


「ぐっ…!」

「私の蹴りのお味はどうよ」


だが、正影も何度も修羅場を切り抜けて来た手練。菊花の左肩目掛けて斬りつけよとする。

的確にどう相手にダメージを与えられるかが大事なのだ。



「ヒッ——!」

「チッ…。上手く避けたか、」

「危ねぇもん振り回すな!それ何気に熱いし!!」


軽く涙目な菊花をスルーしたところで、刀は最初から危ないもんだしと思う正影であった。



「コイツは炎を帯びる刀《不死鳥》。何度俺に斬りつけた所で蘇る」

「———不死鳥だって?!」



——やばい、神の領域に突入している刀。あんなので私は斬りつけられたら、一発で死ぬ。

さっきは軽く触れた程度だったけど、ダイレクトに喰らったらそれこそ《神の生気》と混じって死んでしまう。



…アイツにとって有益になるものは私にとったら「毒」と変わらない。死ぬか地獄巡りをする羽目になる。


それと逆で奴に悪いものが私にとったら良いものになる。なんて面倒な構造なのであろうか。


 
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