魑魅魍魎の菊



「ほぉ…春姉のストーカー中にその情報を手に入れた、というわけね…」

「ふ、複雑でございますね…若」

「フンッ、女子の敵じゃな!不潔!」


いや、不潔ではないかと…という鏡子の心境をスルーしたところで。
元のサイズに戻った千影から話を聞き出したのである。



どうやら徘徊(という名のストーカー行為)をしている時に井戸端会議をしていたチンピラ妖怪から聞き出したらしい。


「千影、信憑性は」

「解らん。何せ今まで儂達が見つけれなかったぐらいだからな」

「じゃが…被害者から漂う"強大な妖力"の香りは嘘ではない…」

「実在することだけは確かだ。鏡子の鏡でもその危険度は示されている」


鏡、それは真実しか映し出さない代物。
そして魂を持った鏡なら、それは明確に解るのだ。


「若の言う通り、私の鏡でも実証されています。——ここは親方にご相談しますか?」

「親父か…」

「市太郎様なら、もうすぐで帰られる」

「何で神影が知ってるんだよ」


俺は傍で煙管を吸っている神影に聞けば、恋する乙女のように頬を染め。


「何を申す正影!これは愛なのじゃ!」


「はいスルー」




この家の風紀が完全に乱れている…。
しかも身内に恋愛対象者がいてみろ、ビビるしかネェよ。


「そして、何より信憑性が無い」

「何じゃと?妾がチンピラ妖怪に劣ると言うのか」

「劣るわこのクソアマ!親父なら昨日から一週間、アメリカに出張しに行った!」



それを言えば、先ほどの千影のように石器した神影の姿があった。そしてそれを慰める鏡子の姿が見られた。


 

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