燕と石と、山の鳥
何か、冷気のような違和感がある。
「紺、紺っ」
後ろで中の状態を全然見ることのできない芹緒が俺の腰辺りをつつく。
「あ、おぉ…」
表情の見えない芹緒とはアイコンタクトが取れないから、どこか心許ない心持ちで部屋へと踏み込んだ。
と、
「…!」
ぞわっ…と、捲られた袖から覗く腕に鳥肌が立つ。
冷房でも聞いてるのかと、部屋を見渡して見たがそれらしい物は見当たらない。
1番後ろの席に座ると、前に座るおばさん達の控えめな声が聞こえてきた。
「自殺なんて…やっぱりよっぽどお金が大変だったのかしらねぇ」
「明るい人だったから、そんな風には見えなかったけどねぇ…」
ここに来てるのは近所に住んでる人達か。
故人はどうも人に好かれる質だったらしい。
「いっつもお子さんの事よく話してたからまさか残して逝っちゃうなんて…」
うるさい
「本当よねぇあんなに誠実な人だったのに」
何も知らないくせに
「…?」
俺は眉を潜める。
やっぱりなんか、変だ。
芹緒が「あんまりキョロキョロしてたら失礼に見えますよ」などと言っている。気付いてないのか?
辺りには絶え間無い恨み言のように経文が這い纏わっている。
「いろいろとなんとかしようとしてたものねぇ…」
うそだうそだうそだ
「本当に残念…」
そんなわけないうそだあいつはあいつはあいつは
「愚者だったんだ」
「怠惰者だ」
「冷血で」
「猫かぶりの」
「最低な」
「男」
「だっ」
「たんだ」
…!!?
「紺、紺っ」
後ろで中の状態を全然見ることのできない芹緒が俺の腰辺りをつつく。
「あ、おぉ…」
表情の見えない芹緒とはアイコンタクトが取れないから、どこか心許ない心持ちで部屋へと踏み込んだ。
と、
「…!」
ぞわっ…と、捲られた袖から覗く腕に鳥肌が立つ。
冷房でも聞いてるのかと、部屋を見渡して見たがそれらしい物は見当たらない。
1番後ろの席に座ると、前に座るおばさん達の控えめな声が聞こえてきた。
「自殺なんて…やっぱりよっぽどお金が大変だったのかしらねぇ」
「明るい人だったから、そんな風には見えなかったけどねぇ…」
ここに来てるのは近所に住んでる人達か。
故人はどうも人に好かれる質だったらしい。
「いっつもお子さんの事よく話してたからまさか残して逝っちゃうなんて…」
うるさい
「本当よねぇあんなに誠実な人だったのに」
何も知らないくせに
「…?」
俺は眉を潜める。
やっぱりなんか、変だ。
芹緒が「あんまりキョロキョロしてたら失礼に見えますよ」などと言っている。気付いてないのか?
辺りには絶え間無い恨み言のように経文が這い纏わっている。
「いろいろとなんとかしようとしてたものねぇ…」
うそだうそだうそだ
「本当に残念…」
そんなわけないうそだあいつはあいつはあいつは
「愚者だったんだ」
「怠惰者だ」
「冷血で」
「猫かぶりの」
「最低な」
「男」
「だっ」
「たんだ」
…!!?