巡る巡る
「キャー!蘭く――ん!」
バトンを受け取った時点で順位は、2位だった。
俺がバトンを持った瞬間、沸き上がる歓声が大きくなった気がした。
少し先を走る背中を捉えた。
ギリギリ追いつけるか?
ジリジリと追い上げる。
「蘭がんばれ~~!」
そんな声が遠く耳に届く。
違う。
君じゃない。
「蘭くーん!」
違う。
俺が欲しいのは。
たくさんの歓声の中から、
一つの声を探している。
残り10メートル。
前の背中に
遂には並んだ。