刹那の憂い(セツナのウレい)
刹那に
「そうだ。紫苑ちゃん」

「えっ?」

クッキーのことを、一瞬忘れて、刹那がこっちを見る。

「無理しないで、帰りなね」

うわ。

今、一番言って欲しい言葉だったかも。

あまりの直球に、あたしは言葉を失って、刹那を見返す。

「・・・とか言っても、無理しちゃうんだろうけど」

そういうトコも、当たってる。

すごいよ、刹那。

真っ直ぐこっちを見ている目。

心配げな色をほのかに浮かべながら、照れるように笑ってる。

その表情も、いいっ。



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