第七世界

吸血刀

「きゃきゃきゃきゃ!」

真夜中に上がる奇声。

空に浮かぶ満月は少し赤く染まっていた。

一人の一般女性が逃げ惑う。

「はあ、はあ、はあ、いやあああ!」

「くけ、くきゃああああ!」

奇声の持ち主は強靭なバネを持ってして、女性を背後から追いかける。

開いていた距離は意味がなく、すでに腕を伸ばせばつかめそうな位置にいた。

女性の願い叶わず、影は女性の上に飛び乗る。

「い、いや、いや、いやあああああああ!」

月夜に浮かぶ赤く染まった刃。

女性の背中の上に落とされた。

女性の背中からは血が流れ、息絶えてしまう。

血は刀に吸い取られるかのように、消失していく。

「きゃきゃきゃ!きゃきゃきゃ!」

狂人は夜の帳を引き裂き、叫び続けた。
< 173 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop