第七世界
服を着替えて、食卓で二人無言のまま飯を食べている。

頬にはもみじ饅頭と言わんばかりの後が赤々と現れている。

気分が良いとは言えない。

いつも食べている飯でさえ、不味いと感じるくらいだ。

苛立ちが隠せず無言で飯を食っていると、刹那が気にかけて声をかけてくる。

「なんか気分悪そうやな」

自分でわかっていないのか?

「この頬の赤いの、誰がやったかわかるよな?」

「それ、格好ええと思うで」

ありがとうなんて絶対に言わない。

街中で歩けば、笑いものになるのがオチである。

「俺の安らかな一時を潰して、そりゃないだろ!」

「元気いっぱいなんはええけど、どならんでもええやん。あそこで起きん恭耶が悪いで」

「俺に恨みでもあんのか?」

「恭耶のせいで、この年になっておしっこ漏らしたやん」

失禁するほど、驚かした覚えなんかない。

このままいけば、更に何かを言われそうである。

こっちが一方的に悪い感じになるのだが、面倒なので突っ込まないことにした。

「そういや、町の事とかよく知らないだろ?」

俺が折れて、話の流れを変えるしかないようだ。

「うん。どこに何があるとか全くわかれへん」

「んじゃ、見に行くか?」

「ほんま!?」

「失禁しない程度に案内してやるぜ」

「穿り返すようなこと言うな!」

飯の途中でも構わずビンタを食らう。

両方の頬にもみじ饅頭をつくってしまったようだ。

口の中を切ったみたいで、ご飯を食べるのも一苦労である。

「恭耶は女の子に対して、デリカシーがないねん」

「女の子?幼女だろ?」

次は真正面からグーパンチを受けたのは言うまでもない。
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