第七世界
これは、俺の予想の斜め上を過ぎ去っている。

土鍋の中には煮えたぎる黒い汁。

その中に魚の目が浮いている。

他にも、蛙の足が浮いていたり、雑草のような草が浮いていたり。

これはどこの民族の食べ物なのか?

いや、人間という種族の食べ物ではない。

悪魔のために魔女が作った料理なのだろう。

放送コードを逸脱した料理を作るなんて、恐ろしい奴だ。

もしかして、これはあれか?

仲直りしたと見せかけておいて、暗殺を謀っていたのか?

とんでもない悪党だ。

「一つ聞いておかなければならない事がある」

「何々?」

「毒見したか?」

「毒見なんて酷い言い方やな」

酷いのはお前の視覚と脳内構造だ。

「ボクな、恭耶に一番に食べてほしかってん」

「上手い物を食べさせたいっていう気持ちがあるのなら、まずお前が食え」

「僕の料理、食べるの嫌なん?」

「嫌とか言ってない。お前が食って安全なら、嫌というほど食ってやる」

「ほんまは嫌なんやろ?ボクの事、気に入らんから、食べたくないんやろ?」

こいつ、究極のアホか?

何て思い込みの強い奴なんだ。

ネガティブが悪いとは言いがたいが、ネガティブを悪用しているとしかいえない。

「く」

食えば、本当に死ぬかもしれない。

だが、一口、一口だけ我慢すれば、刹那の気も晴れるだろう。

「解った。まずは、一口だけ味見させろ」

「味見といわず、全部食べてええよ」

「美味しかったら、独り占めするのも悪いからな」

これで、刹那との相打ちを狙えるはずだ。
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