第七世界
藤井〇のナンダカ〇ダが頭の中で流れながら、時間が過ぎていく。

休憩時間に一言余計な事を言えば容赦なく殴られ、昼休みには俺が楽しみにしていた購買で買ったパンを奪われ、散々な目にあった。

どっちも刹那絡みであるわけだ。

パンは刹那の分も用意してやったんだぞ。

あいつの味覚に合わせて、『666』と袋に描かれたパン。

しかし、俺が食べようとした『クリーミークリーミー』を交換という略奪にあったわけだ。

味も見た目もあまり思い出したくないので、ここまでにしよう。

その無頼漢の刹那は、先に家に帰ってしまった。

「はあ、手伝ってくれてもいいのによお」

放課後の部活をしている運動部を尻目に草を手際よく抜いていく。

全然、楽しいとは思えない作業だ。

一体、何の恨みがあってこんな事をするのか。

「余計な雑念は捨てよう」

今は立ち止まって考えるべき時ではない。

一刻も早く、草抜きを完了させなければ帰るのが真夜中になってしまう。

「うおおおおおお!」

心身に燃え盛る気合を入れ、スピードをアップさせる。

「これが、若さって奴だぜ!」

腕の動きが、音速を超え、光速に至る。

自分の中で思っているだけだが、傍から見ても速いはずだ。

いや、傍からは馬鹿にされているようにしか見えない。

青春に汗水流している奴らに、俺の苦労なんか分かりっこねえぜ。

いつかきっと、お前らも皆木楓の襲撃に遭うはずだ。

そして、やりたくもない草むしりという青春を無理矢理押し付けられるんだよ。

何が言いたいのかよくわからなくなって悲しくなってきたので、草だけを見る事にした。

「ふう」

しばらくして、無我夢中で雑草どもを駆逐し、校庭を制覇する。

終わった頃には部活が終了しており、暗闇の中に俺が一人残っていた。
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