第七世界
三階に辿り着いたが、いかんせん広い学校だ。

別の道からすれ違う可能性が多い。

だから、屋上から探して見たほうがいいだろう。

「無駄は省きたいしな」

さらに上の屋上に向って歩き出した。

多分、屋上で合っていたんだろう。

嫌な空気が一層深まる。

「さくっと行くか」

一度決めた以上は後ろに下がるつもりはない。

女の子が夜の学校で何をしていたのか気になるしな。

屋上手前の扉を静かに開けると、大きな赤い満月が地上を照らしていた。

いつもの黄色や青っぽい月はどこに行ってしまったのか。

屋上も広いが人気がないので、誰かが居るのなら簡単に見つける事が出来る。

そう、天の赤に照らされ、一人立っている女子高生の後姿がある。

最初は、声が出なかった。

綺麗だったからか?

いや、何か危なげな雰囲気があったかたかもしれない。

だが、鷹威恭耶は、恐怖の空気に屈服する気はない。

「おい、学校で何してる、って佳那美か?」

ゆっくりと顔を見せたのは、いつもと変わらぬ亜双佳那美であった。

「鷹威君、こんばんわ」

「こんばんわ、じゃねえよ、夜中の学校で肝試しでもしてんのかよ?」

「ふふ」

佳那美が不気味に笑う。

そう、遊び相手でも見つけて、どう遊ぼうか考えているかのような顔つきだ。

遊びといっても、子供が考えているようなものでもないけどな。

「今日は、月が綺麗だよね?」

「ただ、赤いだけだろ?」

「私は好きなんだよね。血の色に染まったようでさ」

「薬でもやってんのか?そんな馬鹿みたいな事を、普通は言わないぜ」

「薬?ううん、薬なんかに頼らなくても、とてもハイなんだ」

目が赤く見えるのは、月の赤に照らされてるからか?

いや、変色しているんだ。

「ねえ、お願いがあるんだけどさ」

「変なお願いじゃなけりゃ、聞いてやらないこともないぜ」

何か病んでそうだから、絶対に変な要求をしてきそうだ。
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