Tactic
う……嘘だろ?まさか……


来るわけねぇ。兄貴がいないこと、知っててくるわけない。


わざわざ、クリスマスに俺のところへなんかトーコが来るはず……



震える手で、コンロの火を消した。


ゆっくりとリビングから玄関に向かう。


玄関に近づく度に、俺の心臓は脈を打つ。


鍛冶師に剣をうたれた如く、甲高い音で鳴り響いてやがる。


いや、トーコのわけない。

兄貴がいないと知っているのだから。


俺は高鳴る鼓動を抑え、息を飲み込んだ。

そして、玄関の扉を開いた。


目の前には、寒さで頬を赤らめたトーコが立っていた。
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