Tactic
トーコを置いて、リエさんの所へ行けと?


そんなの、できない。

だけど、リエさんは弱い人だ。


俺に電話をしながら、こんなにも泣いている。


「わかりました……。今から、行きます」


そう言った後、俺は電話を切った。


「今から……出かけるの?おばさんから?」


トーコの声に、俺は慌てて携帯を閉じた。


「え?あぁ……じゃなくて、友達から」


思わず、トーコの瞳から視線をそらしてしまった。

とっさに嘘をつこうとしたけれど、つけなかった。


「じゃあ、私……帰るね?」


そんな俺に気をつかい、コートを羽織ると、トーコは荷物を持ち帰る準備をしている。


「トーコ、待てよ!……家まで、送るから」


一緒に出ようと、慌てて俺は言った。


トーコは頷き、上着をとる為部屋に入った俺を玄関で待つ。


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