15のとき
「彼は医学を勉強しなくちゃいけないでしょう?おうちを継ぐために…。学校と音楽活動の両立は難しいと思うし、もしできたとしても続けていくのは大変なことよ!」
母の話す感じが、だんだんと熱っぽくなってきた…。
「いつかは…どちらか一方に絞らなきゃいけない時がくるわ。もしプロになってしまったとしたら、そのときにどちらを選択したとしても心残りが出てくると思うのよ…。」
「そう…かな…。」
今プロになることは、彼を将来苦しめることになる…。
母の言葉が重かった…
私は目先のことにばかり捕われていたのかな…。
でも…
ぜったいもったいない気がする…。
そんな私の考えをすべてみすかしたように
「本来だったらデビューしたらいいじゃんって話になるわよね…。でも家が家だからねぇ。もったいないけど…世の中には、夢は夢のままのがいいっていう場合だってあるから…。」
と言って笑った。
「勇気の家がサラリーマンとかだったら、良かったのかな…。」
「…、そうとも限らないわよ。病院の長男だったからこそそういう彼の人格ができて、才能が芽生えたのかもしれないし…。サラリーマンの家庭だったら、ただの高校生だったかも…。」
「そっか。そうなんだ」