15のとき
それぞれの道へ…

お母さんの病院までの道のりは、思ったよりも長かった。



一本道をずっと歩いて行くのだが、やや急な坂道が気が遠くなるほどに続いていた…。



テスト明けでかなり体がなまっていたせいか、すぐに息が切れてしまった。



ワタシなんかよりも手足が数倍も長くて運動神経抜群な彼は

はるか先まで進んでしまった…。




「奈美~、大丈夫かぁ~?」


私がついていけないのに気付いたのか、遠くから呼び掛ける彼…



大丈夫じゃないし…



「うん。すぐ行くから待ってて~…。」



最後の力をふりしぼって「もぅ限界」という声を出すが、彼は笑って見ているだけだった。




私はこのとき初めて

彼はものすごい天然なんじゃないか、って思ったんだ…。



秋風がホホに当たって心地良い…。

葉の揺れる音…

眩しいくらいにピカピカに晴れた青い空…。

こんな場所でライブとかやったら、きっとサイコーだろうな…。



私は、あの『モンタージュ』での一夜を思い出してふと懐かしくなった…。



もうあんな日は戻らないのかな…


そう考えると余計に切なくなった…。



油断するとすぐに涙が溢れ出しそうになる…

ワタシが泣いたらダメ…
勇気はもっと辛いんだから…。



「ゴミが入っちゃったぁ~…」



大袈裟に何回も目をこすりながら歩いた…


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