楽園の姫君



…この城の主の執務室から怒鳴り声が聞こえてくる。

「…まッ!………シュ様ッ!」

――中には茶髪赤眼の青年と、部屋の主がいた。


「ちょっと聞いてんですかラナシュ様!
何サボってるんです?!

今日中に決裁しなくてはいけない書類がまだこんなにあるんですよ!
何考えてんですかあんたは!!」



「まあまあロイド、そうカッカしないで。
大丈夫、大丈夫。
終わるさ、きっと」



「なんですか大丈夫って!
どこが大丈夫なんですか!?
そんなんだったら終わらせんのに一週間かかりますよ!

臣下として、幼なじみとして、忠告しますけどねえ!これだからアナリアーナ様に会えないんですよ!?」


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