セツナイ恋愛短編集―涙と絆創膏―


のろのろと


コンクリートの打ちっぱなしの階段を
あがる



右手にはコンビニの
弁当の袋


ペンキがはがれて
錆ついている
薄緑色の
部屋の扉



その前で
部屋のカギを探して

クタクタになった
グレーのスーツの
ポケットを
まさぐる


…俺



元々一流企業に
勤めていた


そういえば
課長と呼ばれたこともあったな


少々調子にのった俺は
美人新入社員と


…不倫をした


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