セツナイ恋愛短編集―涙と絆創膏―

「…おやすみ」


僕は目の前にある


華奢な背中に声をかける

返事はないけど


レイのことだから
起きているかもしれない


部屋の電気を消して
豆球だけのこすと


ホタルのおしりの光のような淡い光が


僕とレイを
セピア色に照らす


僕とレイは
1年前から一緒に暮らしている


男と女だけど
肉体関係はない


僕が

華奢なレイの裸を見ても

反応することも
なく


レイが僕を求めることもなく



僕らは
毎日を過ごしている


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