セツナイ恋愛短編集―涙と絆創膏―
アフター5


私は高級ホテルの一室で鏡の前に立ちつくしていた



タカヤマさんに
抱かれた


もちろん
同意の元だけど


抱かれた後
私は何の躊躇もなく


彼のスーツから
パスケースを出して
開いた


カードポケットを引っ張り出してみると
…やっぱりね


キレイだけど
ちょっと気のキツそうな女の人の写真

その横で微笑むタカヤマさん


こういうできる男には
虫が寄ってくる

その虫達に対する
ささやかな
牽制のため


毎朝靴を磨いて
ワイシャツに皺なくアイロンがけをして


パスケースに
そっと


ふたりの写真を
忍ばせておく


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