セツナイ恋愛短編集―涙と絆創膏―
もっと早く

想いを伝えればよかった




バーの女の人は


好きだった人を
亡くしてしまった
らしい

とケイから聞いた



「ケイがあんな風に
優しい言葉かけるから
誤解するんだよ」


私がいうと


「仕事だから
しょうがないよ

…でも俺がそうしてなかったら

今の俺達じゃ
なかったかもしれないじゃん」


ケイの笑顔

温かい手が
私の手を包み込む



私も
そっと握り返す




…そんな夏の午後。






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