セツナイ恋愛短編集―涙と絆創膏―
「なんだ、最近お前
変わったな」



タケシがライブの準備をしながら俺に言う



「…そうか?」


俺は
またタケシのライブに
付き合う



2度とチカは
現われないだろう



だけど
俺の中の

チカは
笑顔のまま


昔の笑顔のまま




そっと
立ち尽くした俺の背中を押してくれたんだ



「…タケシの歌
よく聴くといい歌だな」


俺が言うと
タケシは笑う


「今頃わかってやんの」


…俺もまた一歩踏み出して

笑顔を思い出したんだ





< 72 / 162 >

この作品をシェア

pagetop