愛憎友達
朝葉は和飛が好き。

だから諦めたくない。

朝葉は再びアドレスを変え、今度はケータイに登録されている全員に通知メールを送った。

そしてそのあと1通のメールを作成するために、宛先をゆっこだけに変える。






≪送信メール≫
ゆっこ。
朝葉、和飛が好き。
だから今日告白します。



心臓が破裂しそうだった。

ゆっこが嫌がらせの犯人だっていう物的証拠はなにもない。

朝葉がメールの内容を不審に思って、引っかかる相手に送ったらビンゴしただけ。

だからゆっこを問い詰めてもきっとしらばっくれるだろうし、何より朝葉はゆっこを失いたくないから問い詰めるつもりもない。

でも、けじめをつけたかった。

犯人にメールを送ることで自分の気持ちにけじめをつけたかった。

ほんの3行文。

何十回も読み返して、そっと送信ボタンを押す。

5分10分と時間は経っていた。

送信中のアニメーションが流れる。

完了すると、そのアニメーションが止まった。

あぁ、送ってしまったのだと実感する。

もう後戻りはできない。
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