聖男子マリア様 番外編  俺様天使奔走中につき
『結局、オレがいないと何にも出来ないんすねぇ』



これは奇跡か?



『これじゃ心配で寝てられないっすよ』


なぜ、おまえがここにいる?



『オレにもよくわかんないんすよねぇ。でも……』


でも?



『ミカエル様に呼ばれたような気がしたんで』



目の前でそう言ってアイツは笑った。



見間違えるはずもない。
一番大切な存在がそこにいて、手を差し伸べていた。

その姿はうっすらと向こう側が透けてみえていた。


だから、これは実態ではなく、彼の霊体なのだろう。



動かない体を必死に動かして、目の前にある彼の手に自分のそれを重ねた。



その瞬間。



『とっとと終わらせて帰りますよー』



にっこり微笑んだまま笑うアイツから、つむじ風が巻き起こり、それは自分とアイぺロス、マリアの体を飲み込んでいく。

傷つけるような痛みも、激しさもない。


ただ温かく、しっとりと包むような感覚が血にまみれた自分の体を優しく抱いた。
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