百物語骨董店
「タケル、本当にこんなところに
そんなお店あったの?」

友達のケンイチが
首をかしげた

ケンイチは生まれた時からここに住んでいる


こんなところに
店はないはずだ


「絶対ここら辺なんだ
そうだ、駄菓子屋さんのおばあちゃんに聞いてみる!」


タケルは
いつもお世話になっている
駄菓子屋に駆け寄った



「いやぁ…
そんな店ないよ」
おばあちゃんは首をかしげていった



「おばあちゃん、僕に昔からあるって
言ったじゃないか」


「う~ん…狸にでもだまされたんじゃないかい?まぁ、せんべいでも食べな」


おばあちゃんは
ニコニコして言った


お店はなくなって
しまった


だけど


猫のおかげで
タケルは
幸せだ



クスクス…


どこかで
誰かが笑った気がした




―黒い猫 完―


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