百物語骨董店
その店は
見た目よりも広くて
可愛らしい店だった


グレーの素敵な
ワンピース


金細工の小物入れ


少しボロボロの
虎目石のはめ込まれた
黒い猫の置物



店の中央には重厚な
アンティークの猫足テーブル



ティーポットから
アールグレイのいい香りがしている



ブロンドのお人形が


その金色に光る
髪をなびかせて
私を誘う



思わず
手をのばした




「おや、お客様でしたね」





ふと


声がした方に
顔をあげた



濡れたように
漆黒の髪


透き通るような肌


ほんのりと紅い
唇




美しい…人…




痺れるような声が



私の脳内を独占する



「ガトーショコラを焼きましたので
あなた様もいかがですか?」




フフ…と店主が微笑む



「可愛らしい女の子にはショコラが似合う」

…フフフ
お人形が振り向く

片方の瞳が
ない顔で

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