それでも傍にいたい〜先生と生徒の逢瀬〜


時が経ち、もう補習の最終日。初日は遅刻した坂上くんだけどそれからは毎日遅刻しないで来てくれた。
ぶつくさ言うのは、直らなかったけどね。

毎日苦手な英語をやったご褒美に、缶コーヒーを買ってあげよう。勿論ブラックの。

私はお金を自販機に入れ、ブラックの缶コーヒーのボタンを押す。ガシャン、と音を立てて落ちたそれを取る。ひんやり冷たくて、真夏の陽射しの中、すごく気持ち良かった。

私は自分の分も買おうとお金を入れて少し考えた。
いつものカフェオレもいいけど、オレンジジュースもいいなあ。

よし、同時に押してみよう!そして二つのボタンを押す。
出てきたのは、オレンジジュース。なんだか、少しがっかりした自分がいた。…なんだ、やっぱり私、カフェオレが飲みたかったんじゃない。

馬鹿ね、本当に飲みたいモノがわからないなんて。

―私が本当に欲しいモノ。
それってなんだろう。

雑誌に載ってた可愛い流行りの洋服?ブランドのバッグ?…ううん、多分違う。少しずつ、わかればいいかな?って私ったら自分に甘いね。
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