俺の彼女
弁当を食べて

俺は芝生の上に寝転んだ


飛行機雲が青いキャンパスを不規則に区切っていく



「芹澤くん…。」


愛梨の遠慮がちな声が
重くなる瞼にかかる



「ん?」



「さっきは…その…

あ、ありがとうございました…。」



風に舞って
愛梨の優しくて甘い香りが鼻孔をくすぐる


「別にいいよ。


…そろそろ敬語やめない?」



遠退く意識の中
子猫の様に
か弱い声が聞こえた



「じゃ、じゃあ…
あ…あんたって呼ぶのやめてください…。」




返事を返す前に俺は眠りに落ちた
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