昭和お笑い暗黒史────戦艦「大阪」解体大作戦
「吉本興業暗黒史」


────1943年。



日本は、その歴史において、かつてない激動の時代を迎えていた。



第二次世界大戦────。



後の世にそう呼ばれる事となる全世界を巻き込んだこの戦争において、開始より数年を経た太平洋地域では、アジアの東端のちっぽけな島国・日本が、世界に冠たる大国・アメリカを向こうに回すという図式になりつつあった。

開戦当初こそ、まだ太平洋方面の軍備が整っていないアメリカに対する奇襲によって主導権を握った日本だったが、ここにきて徐々に双方の国力差が顕著となりつつあり、その様相は正に総力戦となりつつあった。

ミッドウェーでの大敗以来、後手に回る事が多くなった日本軍は、この状況を何とか打開すべく、数々の作戦を立案する。その中には、軍部のみに留まらず、民間の企業に計画の遂行を委託した特別作戦も、いくつか存在した。

その中のひとつ、「ヨ号兵器計画」。これは、いろは順でいうところの12番目に計画された作戦を意味するが、偶然にも、その作戦を任された企業の頭文字がそれと同じ事もあり、どこか因縁めいた印象を受ける作戦となった。

そして、その作戦の実行を委託された企業────。




そう、「吉本興業」である。





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