しなやかな腕の祈り
外で、車のエンジンを切る音が聞こえた。

帰ってきた。

急いでアルバムを片付けて部屋に戻る。

あたしは手に、あたしが生まれた時の写真を持っていた。

叔父さんたちに見つからないように、クローゼットの中に写真を隠した。

何気なく携帯を見ると、着信があった。


『着信1件 お母さん』



テレパシーか何か???

どんぴしゃりでお母さんから電話があった。

かけ直すと、今日もシラフで電話に出てくれた。

舞台が延期になった事を伝えると、市議会議員に文句を言って日本にいる時間を長くすると言ってくれた。

迷っていた。

聞こうか、聞かないでおこうか…

写真に写っていた、おじいちゃんそっくりの人の事。

聞きたいのは山々なのだ。

聞いてスッキリしたいんだけど、聞いちゃいけない気もするし難しい所だ。

結局聞けないまま、聞かないまま電話を切った。



『楽しみにしてるよ』



お母さんはそう言って電話を切っていった。
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