しなやかな腕の祈り

お母さんの生活

お母さんの住む部屋は二階建てで広い部屋だった。部屋中に舞台で踊っている人達の写真が飾られていて、お香のいい匂いがしたけれど
テーブルの上には異常な数の酒の瓶が転がっていて、再会して一瞬でお母さんの生活を垣間見てしまったような気がした。



「楽にしとりなよ。洗濯物ないんか???」

「あ…カバンの中に…」

「この袋?」

「そうです」



再会…というよりも初めて会ったに近い感覚のあたしに、お母さんは結構普通な態度で…あたしの洗濯物をカバンから出して洗濯場へ持って行った。



「コーヒー??お茶??紅茶もあるけど…
腹減ってないの」



対面式キッチンの向こうから、背中を向けてお母さんがまた喋りかけてきた。



「…コーヒーで…」



緊張しているのは、あたしだけ???
感動しているのは、あたしだけ???



段々不思議になってきた。



「お待たせ」



コーヒーの入ったマグカップを2つ持って、お母さんはあたしの前のソファーに座った。





無言だ。
重い。空気が重すぎる。



どっちが先に話し出すのか。お母さんか…あたしか。
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