36.8℃の微熱。
 
用意周到というか、ぬかりないというか、ある意味すごい。

バカにされるだろうから言わなかったけど、とんずらをここうなんて少しも思い浮かばなかった。

申込書を手に取った時点で、あたしは3年間を諦めたの。


そういえば・・・・。

中3の頃、女子の間で先生はとにかく人気だったっけ。

携帯の番号やアドレスを聞きに行く女の子が絶えなかったけど、先生は教えなかったみたい。


あたしは強制的に居残りさせられていたけど、熱烈なファンの子は自主的に居残りしていたり・・・・。

そうそう、バレンタインなんかはチョコの山がすごかったよなぁ。


その子たちの目には“かっこいい塾講師”に映る先生。

そんな先生の番号とアドレス、簡単にゲットしちゃったよ。

トホホ・・・・。





『次は河南町〜、河南町〜』


悲しい気分に浸っていると、あたしが降りる駅のアナウンス。

もう落とさないよう鞄の中に携帯をしまい、降りる準備をした。

家に帰ったらお母さんになんて説明しよう・・・・。

はぁ、身も心も重たい。
 

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