36.8℃の微熱。
 
けれど───・・。

次に王子が言った言葉に、あたしは耳を疑った。


「そのうちひょっこり戻ってくるって。泣くほど心配しなくたっていいんじゃない?」


王子はあたしを励ますつもりで言ったのかもしれない。

適当に言ったわけでも、ましてや悪気があってそう言ったわけでもなかったかもしれない。

でも、あたしにとってあんこは大切な家族の一員だから・・・・。

今の王子の言葉は、どうしても聞き逃すわけにはいかなかった。


「なに言ってんの? ちょっと待ってよ、そのうちひょっこりってどういう意味? 泣くほど心配するのはいけないの?」


今まで背中をさすってくれていた王子の手をバッと払いのける。

“そのうち”とか“ひょっこり”とか、そんな曖昧なことを言う人の手で、あたしのことを触ってほしくはなかったんだ。


そしてそのまま「・・・・え」と固まる王子に思いを爆発させる。

涙が溢れて仕方がなかったけど、それでもきつく王子を見上げた。


「あんこは犬だけど家族だよ!家族がいなくなったら心配するのは当然じゃん!!」
 

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