36.8℃の微熱。
 
「顔よ」

「・・・・顔? あたしの?」


そうよ、とお母さんは微笑む。


「茜は気づいてないだろうけど、顔つきがずいぶん変わったわ。それがお母さんが反対しない理由」

「どういうこと?」

「大人の顔になってきたの。こういうことを言うのは親の欲目かもしれないけど、茜はすごく素敵な女の子になったと思う」

「お母さん・・・・」

「それは先生に恋をしたからでしょう? だからお母さんは茜が決めたことを応援する。ついでに一緒にパーティーもしたい♪」

「もうっ!」


お母さんの腕をペシッと叩く。

なんなのよ、ついでにとか。

語尾に音符までつけちゃって、いつまで若いつもりでいるワケ? 全然かわいくないのよっ。

でも、そっか・・・・。


「茜はもう十分悩んだ、お母さんにできることは笑って送り出すことだと思ってる。巻き込まれてなんぼのもんよ!」

「ありがとう、お母さん」

「うん」

「へへっ♪」


どんなときのあたしも見守っていてくれたお母さんだからこそ、信頼して送り出してくれるんだ。
 

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