少女A。
1%の、

やりとり。


「うん、明日から夏服にするから」

制服を汗で濡らしてきたあたしを怒るお母さんに、なだめるように放った。

リビングのソファーに座りながら、気持ち悪くなっている制服を脱ぐ。

あたしの部屋はない。

でも一人っ子だし、お父さんは残業で夜遅い。

見られて困る人なんていないんだ。


「ちゃんと洗濯機に入れてよー」

さっさと畳み始めたあたしに、一声かけられる。


「わかってるよ」

似合ってない黄色いTシャツに着替え、風呂場兼洗面所に向かった。


軋む音とともに制服を投げる。

中で散らばったそれは体育の時間と違って、見せかけのまとまりも、何もなかった。


ふと、洗面所の鏡にあたしが映る。

これから何十年もこの顔と付き合っていくのか。

別に嫌じゃないけど決して満足じゃない。

半袖からはみ出した腕は白くそれでいて茶色い。

もう、日焼けする時期になったのか。

最近の太陽の頑張りには、驚かされる。


そうだ、携帯を出すのを忘れていた。

ただ白いだけの四角。
あたしはただ純粋に好きだった。

岡田とお揃いの、白い四角が。

よく壊れなかったな、と制服から取り出して思う。


――このまま岡田を呼んでしまおうか。

そんなことしたら、呆れられてしまう。

考えたらボタンが押せなくなった。





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