意地悪な彼。
「噂をすれば会長だ」

姫が指差す方向を目で追うと会長がスタスタと歩いていた。会長のクラスは隣。いつも私のクラスの前を通る。


「いやーあの顔は犯罪だよね」

「顔はね…」

「…え?」

「…あ、なんでもないよ!」


慌てて訂正する。
でも本当にいいのは顔だけだよ。会長なんて、なんで会長になれたんだろ。仕事私にやらせるし、女の子大好きだし、エロいし…。

「会長なんて嫌い」

まだ、唇に会長の唇の感触が残っている。彼はキスが好き。なんらかいつもキスをせがむ。

「そのうち会長のよさに気づくわよ!」

「気づきたくないよ、だいたい姫!姫は彼氏いるじゃん」

姫には、ラブラブな彼氏がいる。スイッチが入ると止まらない彼氏の自慢話。

「龍の話?かっこいいよねー会長と同じくらい!」


「分かりませーん」

どちらの魅力も分からない。私は、彼氏も好きな人すらできたことない。
好きって感情すらよく分からない。

「…まあ陸は初恋すらしてないからね、そのうち分かるよ」

初恋…ね。
しなくても別に構わないんだけどね。
恋…でもやっぱしてみたいかも…。

あ、担任。

担任の先生が来たので、私と姫は席について話をやめた



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