愛されて
家の前で雪たちと別れた。

私は深呼吸して…
玄関のドアを開けた。

家に帰ったり。
朝、起きてキッチンに入ったりする瞬間が…
一番、緊張する。

「ただいま…」
「おかえりなさい」
ママが私を出迎えた。
玄関で靴を脱ぎ、揃えて靴を置き、スリッパに履き替えた。

「遥香、どうだった?学級委員にはなれたの?」
ママが聞いてきた。

私は…
「ううん。立候補者が多くて投票になって、聖がなった…」
と答えた。

その瞬間…ママが私の頬を叩いた。

「何で学級委員にならなかったの?遥香、あなた内申書に何も書いてもらうことがないのよ…」

そんなこと、言われても困るよ。
だって…投票になって。選ばれなかったんだから…
仕方ないじゃん。

私はママに立候補しなかったことは言わなかった。
立候補したって選ばれないこと…私は知っていた。
だから…
立候補しなかった。
そんなことを言えば
ママは怒るから。


昼食をキッチンで…
ママと梨香とおばあちゃんと食べた。

「本当に…梨香はえらいわね。学級委員になるなんて…」
おばあちゃんが梨香を褒める。

3つ年下の梨香。
梨香は私立の女子大付属小学校に通っている。

「うん。みんなが梨香ちゃんがいいって言ってくれたの…」
嬉しそうに話す梨香を…おばあちゃんが笑顔で見つめた。

「それに比べて、遥香は…本当にダメね…」
おばあちゃんがため息をついた。
ママが私を睨んだ。

私のお皿が空っぽになると、ママが
「明日、遥香はテスト何でしょう?早く勉強しなさい…」
と言った…
「はい。ごちそうさまでした…」
私は席を立った…

ママはいつもいつも
“勉強”
“勉強”という。

ママがこんな教育ママになったのには理由がある。

その理由はママとパパとの出会いから始まる…
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