君と、ずっと。
ゆっくりと声のする方を見ると、あたしのイスに座って鍵を人差し指でクルクル回してる、噂の幼馴染、本城雅斗【ほんじょうまさと】。


「雅斗っ!?」


「鍵の場所ぐらい知ってるっつーの」


ありえないくらい眠い毎朝に、幼馴染とその兄弟。

ハプニングの毎日が、今日も始まってしまう。


「はぁ…」


小さな溜息をつくと、北斗があたしを覗き込んだ。

ちゅっ

…へ?

一瞬何が起きたか分からなかったけど、正気に戻って北斗を見た。


「お姉ちゃんのほっぺやわらかーい★」


北斗は自分の口を両手で押さえて、くすくす笑う。

あたしは北斗にキスされた頬を、右手で押さえる。


「北斗、優しくしなきゃ。女の子には♪」


すっ

優斗さんはあたしの顎を持って、徐々に顔を近づける。

え、ちょ…

ぎゅぅっ

反射的に思い切り目を瞑っちゃった。

ぐいっ

あたしの首に誰かが手を回して、首が絞まりそうな勢いで引っ張られる。


「兄貴、北斗、こいつは俺のモノだつったろ?」


あたしの首は、いつの間にか後ろにいた雅斗の腕により、ガッチリ確保済み。


「まっ、雅斗っ!!は、離し…」


ぐるっ

いきなり180度ぐるりと回転させられて、雅斗と顔が近くなる。

ちゅっ

優しくて触れるくらいのキスを、額にされた。

何も言えなくなるあたし。


「英里だって、嫌じゃねぇくせに」


耳元で囁く雅斗の意地悪な笑みに、顔が熱くなる。
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