最後の恋はアナタの隣で

「涼、ごめん。車の中で待っててくれ」

春樹さんは急に何かを思いだしたようにそう言って、私を置いて後輩達の所へ戻って行った。


私は春樹さんの姿を目で追いながら、助手席の扉を開け、シートに腰をおろす。


視線の先にいる春樹さんは“ヤらせて男子”の一人に何か話し掛けていて――…一分もしないうちにこっちへ戻ってきた。


「何喋ってたの？」

運転席の扉を開けて中に乗り込んで来た春樹さんにそう聞いてみたけど、


「涼は知らなくてもいい事」

春樹さんは意地悪な笑みを見せ、曖昧に答える。


「何それ！　余計気になるから教えてよ！」

私が何度そう聞いても、春樹さんは笑って「駄目」って言うだけで。


結局、本当に何も教えてもらえなかった私は、最終的に聞き出すのを諦めて不貞腐れた。