最後の恋はアナタの隣で
――…“お忘れ物が御座いません様、ご注意ください”


車内にアナウンスが流れ、電車が駅構内へとゆっくりと滑り込み、停車する。


ほぼ満員状態だった窮屈な車内から、他の乗客に合わせて流れるようにホームへ降りた。


地元から近いこの場所だけど、普段あまり繁華街へ来る事もないから、どこに何口があるのか分からない。


案内版で東口を確認して、やっとの思いで辿り着いた改札を抜けると、鞄から携帯を取り出してユカリに電話を掛けた。


『はいは~い』

3コールで電話に出たユカリは、いつも通りノンキな口調。


「今改札の所に居るんだけど、アンタどこにいんの?」

『左見て、左。パン屋の前にいるよ』
< 2 / 464 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop