最後の恋はアナタの隣で

02.キャバ嬢

香水と煙草の匂いが混じり合う店内。


扉を開けてすぐ左手のバーカウンターに案内された私とユカリは、カウンター越しに立ってる優しそうな“ママ”との挨拶もそこそこに、履歴書の記入を始めた。


履歴書と言っても正式な物ではなくて、メモ用紙に名前と住所と電話番号を書くだけの、かなり適当な物。


「涼《りょう》ちゃんとユカリちゃんね。二人とも、こういうお仕事は初めて?」

書き終えた履歴書を手渡すと、ママはそれに目を通しながら聞いてきた。


「はい! 初めてです!」

「じゃあ、今日は初日だし短めに、三時間くらい体験入店していく?」

「はい!」

一言も言葉を発していない私の目の前で、ユカリとママがどんどん話を進めていく。


ただ眺めているだけの私は、何だか他人事のような気分になった。
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