花が咲く頃にいた君と
何となくその光景をぼーっと見つめていた。


けれど、あたしのものにお金を出してくれていると気付いた日には、慌てて止めた。



「自分で払いますから!」

「いいよ別にこんくらい。小遣いに取っときなさい」

「そんなお客さ…」


あたしが捲し立てる言葉に、衣夜さんは人差し指をあたしの目の前に突き立てた。



「今はお客さんじゃないから、気にしないの」


衣夜さんの有無を言わせないその言葉に、押し黙る。


衣夜さんから視線を逸らし、店員さんに向き直る。


もう一度ちらりと衣夜さんを見るが、いつもと変わらない笑みに、今の考えが変わっていないのが分かる。




仕方なく小銭と商品を受け取ろうと、店員を見れば固まった。




クラスメイトの柊 努があたし担当の店員だった。


彼はなんて言うか、男のわりに女々しくて、男のわりに噂好き。




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