花が咲く頃にいた君と
理想と現実のギャップ
『きゃ―――!!!』


女子多数の悲鳴を聞いた。


それは遠くだったかもしれないし、近くだったかもしれない。


けど今、そんなことは問題ではない。


一番重要なのは、


「ごっそさん」


そいつの声は、楽しそうにあたしから離れていく。


クラスメイトもとい、柊 努があたしの唇に触れたこと。


多分、これは夢じゃない。



一度も瞬きできなかった。


今も開いたまま、瞳が乾いていく。



「冬城さんの唇ってガサガサ。ちょっと痛かったし」



えっと、きっと、これなら、正当防衛は成立するはずだ。


捕まれた腕、はそのままに。


コンビニで買った朝食は自ら地面に落とした。




「えっ!?うわっ!!」


空いた片手は、素早く柊の胸ぐらを引き寄せる。


「不能にしてやる」


囁いた言葉と同時


あたしの力任せに振り上げた利き足が、奴の股間にクリーンヒット。



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